2016 4月

入念なシミュレーションをしましょう

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個人事業で一人で仕事をしていた時は、自分にしかできないことを常に意識し追求していました。

私はMac使いの左利きでかな打ちの変わり者で、Macを1台持ち歩いて編集していればそこそこの物が作れていましたし、そこからよりよい作品を自身が追求していれば良しと思っていました。
ところが、若い人一人採用してこれを編集してみて。とスタッフに仕事をお願いしても、それができないのです。
左利きとかかな打ちはいいとして、Macやその編集ソフトもその分野にいなかったスタッフにとってはとても使いづらいこと。まずはMacから操作を覚えるという教育の負担が2倍に増え、しかも、センスが求められるCGやエフェクトなんて製作者個人の差配で決めているので、他人からしてみればその良さは分かりませんし下手をするとただの自己満足かもしれません。

それを長い期間給与を払いつづけながら教えていく負担の大きさが計り知れない…今の若い人はすぐ辞めると言われてるし…

悩んだ結果

 

私にしかできないと思い込んでいたテクニックを捨て
誰でもできることを使いやすく変化させ伸ばしていこう。

 

と方針を変えることにしました。遅くなりました。ます犬です。みなさまこんにちわ。
それでもその方針は仕事に反映させるのは難しいことで、誰でも出来るってことはつまりお客様もできることなので、素人でも仕事ができる技術をどうやってマネタイズしていくかが悩みどころなのです。

結果的に弊社の場合、経験から積んだ「個性的な切り口」と「素人物量」で攻める格好でライブマルチカメラにたどり着いています。
そこで、今回は教育についてです。

マルチカメラは技術的には他社でも行われていますが、一人でカメラ4台コントロールと編集を同時に行うので独自性が強く、中途採用が全く効かない問題を解消するべく、独自教育を念入りに行い現場で段階的な実践を踏まえて自立させる方針にしました。

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シミュレーション(模擬訓練)です。

要は大きいスペースを結婚式に見立て、新郎、新婦と見立てた模造紙を貼り付けて研修中のスタッフに撮影の訓練をしています。ケーキ入刀の時はカメラ2台前へ持ち込む。新婦の手紙の時は上座、下座に分かれてスーパーインポーズ撮影。など

 

これを本番に向けて最低6回、検証3回を踏まえ本番にぶつけます。

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大きな模造紙は撮影スペースも多くとって大変だったのでスケールを小さくして小さい部屋でも簡単に訓練できるように工夫しました。
私も結婚式撮影の現場に相当数入っていますが、肩に担ぐカメラが3時間も担ぐことはやり始めた当初は辛く失敗が許されないので、ミスが少なくそこそこ撮れるようになったのに2、3年かかってしまいました。

 

それを今の若い世代に要求することは難しいことですし、むしろ経験豊富な我々が変わるべきと考えます。

 

経験を積まないと撮れない。という難易度を極力落として、誰でも簡単に撮れるという環境構築を目指しています。持ち歩くものも軽いので女性でも長時間撮れます。

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ちなみに、ライブマルチカメラの生産力の肝となるコントロールと編集の同時並行の方法ですがこんな画面で行っています。

 

別に難しいことではなく、画面上半分がカメラコントロール。下が映像の切り替えのスイッチングデータの埋め込みです。上の画面の画角を合わせたら下の切り替えでタッチ。上の画面で別のカメラを合わせたらその画面を下で切り替え。繰り返しです。下の画面は実際の映像ではなくカメラ番号を振り当てたものを編集ソフトに埋め込んだものなので、事務所に持ち帰って映像データを流しこんだら映像が切り替わる。という仕組み。オフライン編集の進化版です。このパソコンはsurfaceで縦向きにしながら持ち歩きすることでカメラ移動も比較的容易にしています。

 

やはり、マルチカメラは編集作業が大変で、プロキシ生成を含めて計算しても完成まで最短1週間もかかって人件費のコストが嵩みます。なので現場でやっちゃえ。そうすれば納期半減するし撮影者の編集のセンスも磨かれて一石二鳥。という発想です。

 

この方法は道楽撮りと言われるらしく、カメラを三脚固定しっぱなしでカメラマンがラクをしているように見える撮り方からそんな名称になっているそうですがどうせ言われるならこの道楽撮りを徹底的に追求しプロフェッショナルの撮り方を超える!

そんな意気込みで取り組んでいます。ます犬でした~

固定概念は捨てろ【マルチカメラ撮影・移動編】

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前回はマルチカメラを導入するまでの経緯を書かせて頂きました。
簡潔にマルチカメラの効果は他社との差別化と、若者が働きやすい環境構築の2点です。
導入により他社との作品作りに違いが出てきましたし、ベテランではない若者が興味が持てる環境整備で企業の若年化、創意を高める事が可能となりました。

今回はカメラの位置関係をどうするのかを記載させていただきます。

ライブストリーミングカメラの出会いは私にとって一つの転換の機会を頂けたのですが、
そこからの多くの課題をクリアする必要があり、常に考えさせられています。

まずひとつ目の課題は「固定カメラでどうやって主役を塞がない撮り方ができるか」です。
新郎・新婦を撮ろうとしても、カメラが離れた位置にあると来賓がたくさん映り込みカメラの前を塞ぎます。

これを解決するためには私の「遠隔操作カメラは固定で撮るもの。」概念を取っ払うことでした。
4台のカメラをどうやって配置しようかいろいろ見取り図を考えてみることに

…計画当時の収録体制(案)

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当時私の現場は大きく分けて大きいイベント・式典などで使うホール型と結婚式場のブライダル。
ホールでの撮影は比較的単純なカメラワークだったためそんなに深刻に考えておりませんでしたが

結婚式の場合は進行で激しい催しがあり、多くの来賓を巻き込むため
カメラの前に人が立ちふさがるという問題がありました。

カメラの前に人を立たせないようにするためには単純に考えると
1.払いのける
2.カメラの前にバリケードを張る
3.背丈より高い位置にカメラを置く
4.人より前に近寄る

1と2は冗談として、3は背丈を高くすると俯瞰(ふかん)になって絵面が良くないので、基本近寄るしかできません。

【ライブストリーミングカメラ】
http://www3.jvckenwood.com/dvmain/gv-ls2/
固定カメラなのに

もう一度言います。

固 定 カ メ ラ な の に。

そこで最初は来賓のテーブルにカメラを置かせてもらうことを考えてみました。

…計画当時のカメラ配置図

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…これをテーブルに載せようとしました。

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打ち合わせの段階で会場の担当者さんにこれを載せさせて欲しいと相談したら
ものすごく渋い顔されまして、テーブルに物は置かないで欲しいと言われてしまいました。
今振り返ればたしかに彩りよくお花や立派な料理を並べたテーブルにワケのわからないものを乗せられるのは迷惑でしか無いわけで、しかもよりによって来賓のかなり上の席に置こうとしてるあたりがさらに嫌気を誘ってしまいました。

結構気を使ってそれっぽいものを用意したんですが…私のセンスが悪いのか…

ここでじゃあどうする…って話になるわけです。

とはいえ設立間もないうちのような会社のスタッフはまだまだ経験が無かったため良い案が出るわけもなく、そんなリスクをとるようなやり方は責任負えないのでやめるべき。の雰囲気から進まないわけです。

そこでもう少し考えて自分の中の固定概念をもう少し捨てるとなにか見つけられるのでは。と考え
ライブストリーミングカメラは電源が有線だったので基本は固定した位置で撮り続けるシロモノです。

バッテリー運用すればいいじゃん

もともとバッテリーはつけられるのですが、パン・チルト(遠隔操作)が無効になるので意図する仕様ではなくなります。
ただ、ACアダプタは12V供給なので、ここから「直流で流せば動くのでは?」と思い

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単3エネループ10個をケーブルで接続してみることにしました。
※動作を保証するものではありませんので実際にされる方は自己責任でお願いします。※

動くじゃん!!!

しかも新品で2時間半くらいは動いたので、お色直しのタイミングでバッテリーチェンジすれば問題なし。

いける。

次に位置関係です。

テーブルに載せるのが嫌がられるのなら、いっそのこと動きまわる方法が良いので、動きやすいスタイルと周囲の来賓から邪魔にならない方法を考えました。

当初は三脚のみを検討しましたが、立てたり高さを変えたりするとカメラが傾いたりして不安定になるので、ドリーを使って転がす発想にしてみました。

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ここでも社内では「テーブルの間が狭すぎてドリーを展開したままは運べない」
と反対するのですが、いや、200名規模だとそうかもしれないが100名台ならテーブルの間隔は広かったはずだ。
と思い、導入前にブライダルの現場で複数の式を観察しテーブルの間隔を調べたんですね。

まあたしかにきつい箇所は点在していますが、ドリーを転がそうとするから運べないのであって、
少し持ち上げて椅子の間をかいくぐるように運べば移動ができると確認が取れたので、
初期では三脚とドリーで組み合わせたんですね

カメラ1 高砂の席で新郎・新婦の表情を撮影
カメラ2 移動式カメラでカメラをシーンに応じて移動(ドリー+三脚)
カメラ3 移動式カメラでカメラをシーンに応じて移動(ドリー+三脚)
カメラ4 会場全体を撮りっぱなし(ロング)
カメラ5 通常通りビデオカメラで撮影するカメラマン

現在はここからかなり改良していますが、一応、このスタイルが基本となっています。

ちなみにドリーと三脚の構成ですが、最近は改良してドリーポッドを導入しました。

ドリーポッドと三脚の違い

ドリーポットの出会いは、ある歯医者さんから「いらない撮影機材あげるから取りに来て」と頂いた機材の一つでした。

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こ、これだ!!!!!!!!とピーンと来たんです。

これにより周りの視界の妨げをさらに減らし、且つ機動性も上げることができました。
最初はローラーもつけていたのですが、本体が軽いため持ち上げて運ぶほうがカメラに負担が少ない事がわかったので外しました。

ご存じの方も多いと思いますが、ブライダルの撮影って実はものすごくリスクの高い仕事です。

ミスが絶対に許されませんし、激しく進行しシーン毎にどこに待機しどう撮るのか覚えないといけないので
安易に「カメラ回せます。」ってだけの人にお願いするのは非常にリスクが高いのです。

その為、撮影スタッフの教育が最も重要なので現場の人員を増やし並行で行いかつリスク分散の成立。
加えて1台トラブルが発生しても別のカメラでフォローする。を両立させる必要があります。(この辺は当たり前)

これに加えて弊社の場合は特性の違うマルチカメラとハンディカメラでお互いがフォローしあうことで、1つの作品として仕上がるようハードルを下げる環境整備を目指しています。これで経験が浅いスタッフでもまずは現場に出させ、現場を任せる時期を早めることができそうです。

また、マルチカメラは動作が遅く、突然のイベント発生でカメラを振るのが苦手ですので
そういった瞬発力はハンデのカメラマンにとっさに走ってもらうという、用途に応じて役割を変えた対応をさせています。

何を申し上げたいのかと言いますと…

固定概念や既成概念に縛られると自身の進化の大きな妨げになる。ことです。

業界の当たり前は本当にお客様が求めていることなのか…

4K、3D、フルサイズセンサー、どれも素晴らしい技術ですししかるべき時に検討はしますが
世の中が求めるのは高度な技術(手法)ではなく感動や喜び(目的)を求めているのでは。
設備投資がかかりすぎていないか。それって実はそこまでお客様は求めていないのでは。
そんなことできない。と安易に言う人がいるが、本当にできないのか。
保守に偏りすぎてリスクがとれない体質になっていないか。
つまり行動が惰性になっていないか。傲慢になっていないか。否定的になっていないか。
変化を恐すぎていないか。物事に無関心すぎていないか。
当たり前に縛られ新しいことが見えないでいないか。

と、常に自分に自問自答しながらよりいいものを作っていきます。

私にとっていいものは、お客様が感動し喜びに感じてもらえる商品です。
それでいて私にはかわいいスタッフがいるので、彼らがその目的を達成できる環境を整えるのが私の仕事です。

経験(失敗)から学び、新たな発想で未来を切り拓く。そんな人でありたい。

余談ですが、私、口だけ立派な人間で実績がまだまだ伴っておりません。
八方美人なのが私の悪い癖です。話半分でスルーしていただけると幸いです。

ます犬でした〜